【旅行】微笑みの国 inタイ part1 煙草編

今から10年以上も前の話だが、そこに行動力のあるバカがいた。

である。

この旅の最後で、クズはどこまで行っても、海外まで行っても治らないということを知る。



映画の影響力というものは時に人を駆り立てる。


その夜、友人宅にて二人でレンタルDVDのハングオーバー2を観ていた。
二人ともフリーターで金は無いが時間だけはあった。

内容が内容なだけに、酒などが進み睡眠不足も相まって途中から変なノリになった。

「タイに行っても俺は一人で生きていける」的な内容でイキり散らした。

そこからはもう簡単で、「お前、いけんのか?」と根性試しのようになっていた。

翌日の夕方に目が覚めた。


HISと書いた封筒が部屋にあり、読むと3週間後にタイ旅行予約がされていた。

震えた。2泊4日で朝食付きホテル代込み7万円弱だった。

真っ先に友人に連絡し、ことの経緯を聞くと・・・

なんと、私主導で全て決めたのだそうだ。
しかし、友人は楽しみな感じを出しておりキャンセルなんて言葉は絶対言えなかった。

私はとてつもなく焦っていた。
その時、私の全財産は2万円を切っていた。

2週間後にバイト代が入っても支払い云々で実際使えるのは5万円のみ。

既に1ヵ月0円生活をしても足らないのである。

それでも、自分が昨晩イキっていた記憶があった。。

その後は、準備でパスポートやらキャリーバッグやらで全財産は消え、人生初のクレカのキャッシングで残りを賄うことになる。

結果、返すアテのない借金7万円を握りしめて日本を発つことになったのだ。

関西空港で時間潰しに免税店を物色していると、煙草が安いことをそこで初めて知る。

底辺定時制高校卒の私はとても感動し「5カートン買う!」と煙草を抱きかかえる様にして集めていた。

友人からストップがかかった。
彼が持っていたタイ旅行のパンフレットには、煙草所持上限1カートンまでと書いていた。

当然だが、私はそんなものでは納得しない。

押し問答の末、「もし問題になってタイで連れて行かれても知らんからな!」と言われ、英語が話せる友人で私にとっては通訳でもあったため泣く泣く諦めた。

人生初の国際線でのフライトに感動。

タイに到着した。

空港の出口付近に行くとHISの旗を振ってニコニコのバス運転手が出迎えてくれた。

私たちだけではなく、他にも10名程の日本人がいた。

やんちゃなイケオジ4人組やツンとした女性など様々だ。

そこからみんなでバスに案内される。。。はずだった。

軍の兵士のようなタイ人が3人走ってきてタイ語で何か言っている。
当然、誰も理解できない。

皆一斉にHISのバス運転手を見た。

バス運転手は、何とも言えない顔で言った。

手荷物検査をするそうです。

この時、私たち一同はこの後に起こる地獄をまだ知らない。

数十メートル空港内を歩かされると、急に立ち止まり1列に並ばされた。

タイ人兵士が日本人女性のキャリーケースを開け、中のものを全て床に放り投げた。

煙草が5カートン出てきて、彼女は目の前の小部屋に連れて行かれた。

そこから順番に荷物を引っ張り出されていく。

部屋からは女性の叫び声が聞こえており、床には旅行のための服や小物が散乱していた。

次々と手荷物検査は続きイケオジの一人からまさかの10カートンが飛び出したときは皆笑っていた。

その時の雰囲気は、タイ人兵士のキレの良い動きを見てクスクスするくらい余裕がある。

内心、不安もあるが最終的に「HISが助けてくれるに決まってる。日本舐めんな!」みたいな気持ちだったと思う。


やっと日本人女性が顔を真っ赤にして出てきてHISのバス運転手に叫んだ。

お前助けろよ!!!タバコ没収されて罰金8万円払えって言ってんぞ!大使館電話する!!

その瞬間、日本人全員が凍り付いた

私と友人以外、全員煙草を2カートン以上所持していたからである。

もし、私が5カートン持っていたら・・・と考えると無意識に友人のことを神様と呼んでいた。

そして、長い長い死闘の末、結局2カートン以上所持していた者全員罰金を払わされ、バスに乗り込んだ。

外はもう真っ暗だった。

「二度とこんわ!こんなクソな国!」
「ゴーゴーバーで使う金なくなったわ~」

などなど車内はカオスな雰囲気で、運転手に聞こえるような声で様々な文句が漏れていた。

次回へ続く・・・【旅行】微笑みの国 inタイ part2 no-s〇x編

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