
「定年後は農業したい」
40代のリーマンに多く見られる、飲みの席のしょうもない夢語りだ。
実際、語っておいて何もしないのが9割だろう。
私は、虫が大の苦手であり、野菜も嫌いである。
農業は、絶対にしたくない。
このゲームは無料ダウンロードができたから、「皆でやってみるか。」くらいの気持ちで始まった。
軽い気持ちで始めたが、仕事と労働について考えさせられる結果となる。

写真に見える人物は、私が定年したらこんな感じであろうアバターを作成したものだ。
このゲームを友人と始め、最初は米を作っていた。
労力と単調さが仇となりモチベーションが下がっていた。
考えた末、ハウス農業(量産型)を思いついた。

運送会社で働いた経験もあり、バレット収穫しフォークリフトでトラックに積んで出荷する。
この方法は、大当たりだった。
儲けもそこそこ、何といっても安い車に過積載が楽しい。
この時の私は、心から楽しんでいた。

人間、次第に欲が出る。
儲けた金でハウスを増やし、大型トラックを借金で購入した。
もうケツに火がついて、「大量生産!」と叫びながら作業した。

収穫が多く、昼夜問わず出荷を続けなければ間に合わなくなっていた。
フォークリフトもさらに積めるようにリーチからカウンターに変更した。

数をこなせば、当然こういうこともあるのだが、私は自分のミスに許せなくなっていた。
友人はよく働いてくれていたが、本気すぎる私のことを次第に「大旦那様!」と畑の主である称号で呼ぶようになっていた。

その称号に値するほどの働きだった。
時短はもちろん、いかに詰め込むか。

それは、次第にとんでもないことになっていた。
見た目はともかく、積んだら勝ち。
画像の奥を見てもらったらわかるが、ハウスを増やしすぎたことにより収穫・出荷が遅れていたのだ。

「効率!効率!」
友人は収穫したものを、ホームに集め私はトラックに積んで出荷を繰り返す毎日だった。
そう。
私の気持ちは、すでに仕事ではなく、
労働となっていた。

最初は、皆でふざけあって笑いながら作業していたのにも関わらず。
気づけばやらなければならないことになっていた。
そんな時、友人から「飽きた。」と告げられた。
私は悲しかった。
「荷物どうするんだ!」と叫んだが、「別のゲームをプレイしよう」と言われ、、
泣く泣くやってみると、それが凄く楽しく「ゲームってそうだったね」と思い出した。
ファーミングシミュレーターはいつしか、ブラック運送会社シミュレーターへと変貌を遂げていたのである。

ゲームは楽しむもの。
当然だと思われたかもしれないが、ゲームを本気でやっている人間は忘れているかもしれない。
そして、私のように熱くなる人間は、農業には向いていないのだと気付かされた。
貴重な経験をさせてくれたゲームである。
ファーミングシミュレーター25
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